カス上がりは金属プレス加工現場で頻発する問題でありながら、その対策方法には曖昧な一般論や、現場で実行するには無理のある方法が含まれています。本記事では、一般的なカス上がり対策の検討から始め、その限界を指摘しつつ、現場で即応可能な実践的な方法を「弊職ケニ」と「AI猫生」の対話形式で掘り下げます。ジョークを交えながら、楽しくも有益な内容をお届けします!
◎カス上がり対策について、業界の常識として語られる方法には次のようなものがあります
- パンチ刃先の吸着力を低減する。
- ダイ刃先内部の摩擦力を高める。
- 抜きカスが上がらない仕組みを搭載する。
- 工具の形状を見直す、定期的なメンテナンスを行う。
- 加工油の適量化を行う。
- パンチの脱磁を実施する。
- 抜き形状を複雑化する。
- パンチに付着防止用のエア回路を追加する。
- カス上がりセンサーを使用する。
- 適正なクリアランスを設定する。
これらは一見合理的に思えますが、具体性に欠けるものや、現場で即実行するには課題が多いものもあります。この記事では、このような一般論の限界を整理しながら、現場で本当に役立つ方法を探っていきます。
AI猫生: ケニさん、これらの一般論的なカス上がり対策について、どう思われますか?
弊職ケニ: いやぁ、なんというか、言葉だけが独り歩きしている感があるよね。「パンチ刃先の吸着力を低減する」って言うけど、どうやって?具体的に何をすれば吸着力が減るのか、そこが全然語られていない。
AI猫生: そうですね。それに「適正なクリアランス」と言われても、適正な値がどの条件で決まるのか、具体的な基準が曖昧です。
弊職ケニ: その通り。「適正なクリアランス」なんて聞くと、まるで万病に効く薬みたいに聞こえるけど、実際は材料、板厚、工具の組み合わせで全然違う。何度も試してやっとわかるものなんだ。
AI猫生: 試行錯誤を繰り返して見つけたクリアランスが「適正」だと。でも、それが説明されずに「適正なクリアランスにしろ!」なんて言われると、現場は混乱しますよね。
弊職ケニ: 本当だよ。試行錯誤どころか、なんなら現場の人間は「適正クリアランス祈願祭」をやりたくなるくらいだ(笑)。
AI猫生: 祈願祭!それはもう神頼みですね(笑)。でも実際、現場の苦労を無視した一般論は多いですよね。
弊職ケニ: そうなんだよ。それに「材料変更」なんて、客先が指定した材質を変えられるわけもない。「この材料じゃダメだから変えてくれ」なんて言ったら、現場じゃ「お前が変われ!」って返されるのがオチさ。
AI猫生: なるほど、現場の声を聞かない一般論って、まるで「漫画の主人公はいつも勝つ」みたいな、現実感のない理屈ですね。
弊職ケニ: その例え、うまいね(笑)。現場ではもっと具体的で現実的な解決策が必要なんだ。
AI猫生: では、ケニさんが考える「現実的かつ本質的なカス上がり対策」を教えてください!
弊職ケニ: 大事なのはこの3つだ。
- ダイでの拘束力を高める
- パンチ刃先への付着防止
- 揚力を抑える工夫
AI猫生: おお、シンプルですね。それぞれ詳しく教えてください!
➊ ダイの拘束手法
◎ダイ刃先形状(断面)
・逆テーパー刃先
・逆テーパ+短いストレート
・裏ニガシはストレート、放電仕上げは良い(カス詰り懸念)
・短いストレート化
・クリアランス巾以下での突起
・カス上がり用斜め溝
◎懸念在り方法
・クリアランスを小さくする:早期摩耗、カジリ、二次せん断発生
・被覆放電:効果が短期的、装置が高価
・刃先裏のニガシをストレート:複雑形状では型費が嵩む
AI猫生: ケニさん、クリアランス調整って、まるで暗闇で宝探しをするようなものですね。
弊職ケニ: そうさ。でも、宝探しの途中で工具が摩耗して「お宝どころか泥だらけ」ってこともあるからね(笑)。
❷ パンチ刃先への付着防止
・加工油を未使用か低粘度にする
・シャー角をとる:ダイに拘束し難くなるケースあり
・キッカーピン:カスが倒れる、カスガ回転する
・ウレタン埋込:摩耗が早い摩耗すると最悪
・全長を長くする:効果が薄い対策したつもりになる
・脱磁:残留磁力がある場合は効果あり
AI猫生: ケニさん、「キッカーピン💛」って名前がなんだか可愛いですね。何かキャラクターグッズみたいな感じです。
弊職ケニ: 可愛くないよ(笑)。地味だけど重要な仕事をこなしてるんだ。「俺がいなきゃ困るだろ?」みたいな顔してるけどね。
❸ 揚力を抑える
◎基本的に抑制することは出来ない
・打抜き工程部ダイ側にエア用の溝を掘り、ダイ刃先下のニゲ穴に向け絞り込んだ空気を流入させ一部 真空状態をつくる、【ベンチュリ効果】を狙う。
ダイにスクラップを吸引する力を加え揚力を無効にする。
AI猫生: 「ベンチュリ効果」ってなんだか魔法みたいですね!実際に効果ありますか?
弊職ケニ: 魔法ではないけど効果はあるよ。ただし、エア圧の調整を間違えると、カスが暴れてもっと厄介になることもあるんだ。
弊職ケニのスーパー思いつき対策
・アロンα(瞬間接着剤):実績あり→メーカーに提案(カス上がり防止専用を開発)
問題箇所に適量を垂らし、乾燥後に空打ち。
暫定的には効果あり。ただし短命で即乾燥が課題。
・パンチ下死点でのエア吹き出し:
打ち抜き部ダイホルダ下側に高速エアを流して気圧を均衡化。パンチの戻り時に揚力を無効化。
AI猫生: ケニさん、それ、現場で試したら「ケニの発明品」として歴史に名を残しそうです(笑)。
弊職ケニ: いや、笑われるのがオチだろうけどね。でも結果が良ければそれでいいんだ。
まとめ
• 一般論の対策には具体性が欠けることが多い。
• カス上がり対策の要点は「ダイ拘束」「パンチ付着防止」「揚力抑制」の3つ。
• 現場で即応可能な対策が最優先。
• 弊職ケニのユニークなアイデアも含め、試行錯誤を通じた解決が重要。
弊職ケニ: カス上がりは「出たらしょうがない」じゃ済まされない。最初から「必ず発生する」と仮定して対策を進めるべきなんだ。
AI猫生: ケニさん、説得力バッチリです!読者の皆さんもこれで、カス上がり対策に前向きに取り組めるでしょう!(=^・^=)
カス上がりの対策は、一般論だけでは不十分で、現場の経験と創意工夫が必要です。「ダイの拘束力」「パンチ刃先の付着防止」「揚力の抑制」という3つの柱を軸に、具体的で実践的な方法を見つけることが重要です。また、「カス上がりは必ず発生する」という前提で準備を進める姿勢が、不良品の発生を最小限に抑えるカギとなります。
現場の知恵と試行錯誤を重ねることで、より効果的な対策を生み出し、プレス加工の品質向上に繋げていきましょう。