皆さん、今日のテーマはプレス加工現場でよく遭遇する「穴ピッチの狂い」についてです。段曲げや絞りの後に穴をあけたらピッチがずれてしまった、そんな経験ありませんか?今回は、この謎を解き明かすべく、AI猫生と弊職ケニが対話を繰り広げます!それでは、スタートです!
AI猫生と弊職ケニの対話
AI猫生:やっほー、ケニさん!今日は元気そうっすね~。さてさて、今日はどんなミッションで?
弊職ケニ:今日は段曲げや絞り加工後に穴ピッチが狂う問題について考えるぜ。
AI猫生:ピッチが狂う? なんですかね、ワークが酔っぱらって蛇行してたとか?
弊職ケニ:何言ってんだよ。真面目に聞けって。
AI猫生:いやいや、冗談っすよ! で、どんな状況だったんすか?
弊職ケニ:客先からの依頼でアルミ製ヒートシンクの段曲げ穴抜きをしたんだが、測定したらピッチ交差±0.2mm内に収まらなくて、0.15mmもマイナス方向にずれてたんだ。
AI猫生:うわ、それはヤバめっすね。金型とかパンチはちゃんとチェックしたんすか?
弊職ケニ:もちろんだ。金型のピッチ精度は±0.02mm、パンチの摩耗や焼き付きも問題なしだった。
AI猫生:ほうほう、それじゃ原因がさっぱり見えないっすね。
弊職ケニ:実は、過去にも似たような事例があったんだよ。自動車部品のヒンジ製造のときも、抜き工程でピッチが0.3mm以上狂うことがあってな。
AI猫生:それで、それはどうやって解決したんすか?
弊職ケニ:最初は原因を特定しないまま、穴位置を強制的に修正して量産開始した。でも、検査治具から外れる製品が出てきて、結局再調査する羽目になった。
AI猫生:あちゃー、それはしんどいっすね。
弊職ケニ:で、再調査した結果、前工程の段曲げ角度が開いてたことが原因だってわかったんだ。
AI猫生:なるほど、前工程の影響っすか。やっぱり前からちゃんと見ておかないといけないってことっすね。
弊職ケニ:そうだな。今回のヒートシンクでも、段曲げの角度ばらつきが原因だった。さらに、ワークがストリッパーで矯正されるけど、加工後に反りが戻ってピッチが狂ってたんだよ。
AI猫生:一時的に矯正されても、反り戻りしちゃうとピッチがズレるってわけっすね。
弊職ケニ:そうだ。だから、加工プロセス全体を見直して、ワークの挙動を理解することが重要なんだ。
AI猫生:いやー、現場の知識って奥が深いっすね。勉強になるわ。
弊職ケニ:お前もだいぶ現場感がついてきたじゃないか。
AI猫生:ふふっ、ケニさんに褒められると照れるっすよ!次回もまた面白い話、よろしくお願いしますね。
まとめ(ナレーター)
今回の対話では、加工中のワークの挙動や前工程の影響が後工程の精度に大きく影響することが明らかになりました。皆さんも同様の問題に直面した際は、ぜひワークの状態や加工プロセス全体を再確認してみてください。それでは、また次回お会いしましょう!
実例:ヒートシンク製品でのトラブル
先日、ある客先から依頼を受けたアルミ製ヒートシンク部品の段曲げ穴抜き工程で、問題が発生しました。測定結果では、要求されていたピッチ交差±0.2mm内に収まらず、実際には0.15mmもマイナス方向にずれていました。
我々型屋班が原因を調査したところ、金型自体のピッチ精度は±0.02mmと十分なものであり、パンチの摩耗や焼き付きといった不具合も見られませんでした。動的精度にも問題がなく、当初は原因が特定できませんでした。
過去の経験:ヒンジ部品での事例
自動車部品のヒンジ(板厚t4mm、440kgf鋼)製造の際、抜き工程で穴ピッチがXY軸方向に0.3mm以上狂うトラブルがありました。この時も特に深く原因を追究することなく、単に穴位置を修正し、検査でOKを得た状態で量産を開始しました。
しかし、量産中に検査治具から外れる製品が現れ、ピッチのばらつきが再度問題になりました。金型や荷重、後工程での変形などを調査しましたが、どれも直接の原因ではありませんでした。
最終的に前工程の段曲げ角度が若干開いていたことに気づき、これを修正するとピッチ問題が解消されました。つまり、前工程の段曲げや絞り加工が後工程の穴あけ精度に大きく影響していたのです。
原因特定:ストリッパーとワークの挙動
ヒートシンクのアルミ部品(板厚t1.2mm)についても同様に、段曲げ角度のばらつきが穴ピッチ不具合に繋がっていたことが判明しました。
この部品は、穴あけ時に2本の穴ガイドによってピッチを保持しているため、理論上はずれるはずがありません。しかし、ストリッパーでワーク全体を挟んで加工する際、ワークが一旦矯正され、正規位置で穴があけられるものの、加工後にストリッパーを外すとワークの反りが戻り、ピッチが狂う現象が起きていました。
このように、曲げや絞り加工後の残留応力や歪みが後工程に影響を与えることがわかったのです。
対策と考察
皆さんも、金型を高精度で作成し、丁寧に調整しているにもかかわらず、加工後にピッチが狂ってしまう経験があるのではないでしょうか?そのような場合、つい手っ取り早く穴位置を強制的に修正することもありますが、それでは根本的な解決には至りません。
今回の事例から学べることは、“加工中のワークの状態”を再度見直す重要性です。曲げや絞り工程で生じた歪みや応力が、後工程の穴あけ精度にどのように影響するのかを考える必要があります。
もし同様の問題に直面した際は、ワークが加工中にどのような力を受け、加工後にどのように変形しているのかを再検討してみてください。これが、量産中の安定した品質を確保する鍵となります。